2011年3月9日水曜日

『発光地帯』(川上未映子)

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川上未映子さんの作品に関しては『わたくし率 イン 歯ー、または世界』が早稲田文学に出たときに大学の図書館でこっそり読んでいた思い出があるような古参読者だったわけですが。この『発光地帯』もおめおめ買ってしまいました。なので特に秀逸だなあと思ったエッセイをピックアップ。

  • 世はすべてこともなし
  • 世界なんてわたしとあなたでやめればいい
  • きっと彼らは誰かの息子
一冊を通してのテーマが「食」に関するものらしいですが、そんなことどうだっていい。一番は「世界なんてわたしとあなたでやめればいい」です。前作の『ヘヴン』を読んだ方なら、どこか通じているような内容ですが、なにより、コピーがいい。「やめればいい」って。どうしたらそんなコピーが出るんだろう。後は色々な方々との交流のようすとか、「お母さん」ものが多いエッセイ集です。
ものすごく専門的で有名なもの(ex.陰翳礼賛)でなければ作家のエッセイはごく少数の固定ファンしか読まないようなイメージがありますので、エッセイの紹介なんて本来しなくてもいい気がします。特に現代文学作家さんのエッセイって多くは小説が書けない云々だとか、ごくごく普通の日常とか、ブログに書けやとかいう物が個人的には多いような気がします。
ただ、一人の作家さんの小説やエッセイをリアルタイムで読んでいくと、次の題材はこんな感じかなとエッセイを読みながら予測立てられるのですよ。それを、次の作品で軽々と予測を超える瞬間というのかな。知る人ぞ知る感動です。それがあるから一続きで読もうと思うんですよね。
特に川上さんは『乳と卵』から『ヘヴン』への躍進が凄かったので、特にそう思います。次?予測つきませんね。全く。

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