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2011年5月5日木曜日

『イシューから始めよ』(安宅和人)

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 久しぶりのビジネス書書評です。なんとなくお気づきかと思いますが、ブログのデザインを色々いじくりました。フォントもこっそりメイリオにしておきました。ちょっと見やすいでしょ。ということで書評の形式も変えました。
それ!
イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
安宅和人
英治出版
売り上げランキング: 236
新形式初のレビュー『イシューからはじめよ』です。最近ビジネス系の雑誌の中でもよく紹介されていたり、Amazonのレビューなどもされているようで、なにやら評価の高い本のようです。
この本の中で最も重要とされる概念はずばり「イシュー」と「犬の道」だと私は思いました。いわく
イシューの定義:「a)2つ以上の集団の間で決着の付いていない問題。b)根本に関わる、もしくは白黒はっきりしていない問題」(p25 図3)の両方の条件を満たすもの 
そして、バリューのある仕事を「イシュー度」と「 解の質」の2つの軸で説明しています。いわく
「イシュー度」:自分の置かれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ
「解の質」:そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているか
  この両方が高い仕事というのが、バリューのある仕事だと、筆者は説明しています。反対に、踏み込んではならない「犬の道」というのも説明していて、いわく
「犬の道」:イシュー度の低い仕事を一心不乱に、大量にやってバリューのある仕事に行き着こうとするアプローチである。
  問題解決の際に、その問題の見極めをしっかりとやるべきだということですね。話としては仮説検証型の問題を解決する際の手本書となる本だと思います。もうちょっと先に進んで、問題を明確にした後、それを相手に見せる際に『プレゼンテーションzen』あるいは『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』を連読しながら資料を作るなどすると、より「バリューの高い仕事」に近づけるのではないでしょうか。

よい本です。ビジネスパーソンだけじゃなく、学生が読んでもとてもためになる本だと思います。必読。


2011年4月11日月曜日

『リエンジニアリング革命』(M.ハマー&J.チャンピー)

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 本日は経営学の書籍の中でも有名な『リエンジニアリング革命』(著:M.ハマー、J.チャンピー)を取り上げます。この本は1993年に米国で出版されたロングセラーテキストです。もちろんその時期私は小学生以下だったので、読んだのはつい先日のことになります。出版されてからのビジネス・プロセス・リエンジニアリングブームに関しては書籍の知識に依存することになりますので、何卒ご容赦を。

 そもそも、リエンジニアリングとは何か?曰く
リエンジニアリングの定義:「コスト、品質、サービス、スピードのような、重大で現代的なパフォーマンス基準を劇的に改善するために、ビジネス・プロセスを根本的に考え直し、抜本的にリデザインすること」(p.60) 
と定義されており、 重要な4つのキーワードとして

  1. 根本的
  2. 抜本的
  3. 劇的
  4. プロセス
の4つがあげられています。もっと噛み砕くと「機能別組織の部署を超えて、開発から販売までのプロセスを一本化し、シンプルかつ迅速なフローを構築する」ようなことです。自社の事業がなぜこのような手法をとっているかを改めて問い直し、顧客を第一に考えたシステムに変え、内部の手続きを削減することです。
この説明では若干絞りすぎていますが、基本は上の定義の通りです。

さてさて、このリエンジニアリングという考え方、経営学のテキストとしては広く読まれているようですが、実際のところは、本書でも「着手した会社のおよそ50~70%は意図していたよう劇的な結果に到達していないのである」などと書かれているように、上手くいかなかったそうなのです。
上手くいかなかった理由について深堀りするのはやめます。本書にもきっちり説明されていますし、様々な書評に書いてあることでしょう。

余談ですが、つい先日、違う大学に通う経営学部の友人から、就活の面接でよく専攻の経営学について突っ込まれるので何か良い本を薦めてと相談を受けました。それも出来れば有名どころで安価に手に入る書籍とのこと。
悩みますね。実務に精通した社会人の方を相手にするのだから、順当にドラッカーなんですが、ドラッカーはあまりにも広まっているので、「マネジメント」一冊読んだだけでは簡単にぼろが出ます。(結局もしドラにするそうな)
では「ビジョナリー・カンパニー」とか?いやいや…。
短期決戦の場合、包括的に知ろうとしても、広く浅くになってしまい、大した印象など与えられないのかなあと思います。できるだけ自分の専攻範囲に近いところで、最新の研究で、1冊を読み込むのがよいのかなと思います。

本書に関しても、関連書籍はありますが、一回原点となった本を読み込んでみると意外と近道になるかもしれないですね。


2011年4月4日月曜日

『経営パワーの危機』(三枝 匡)

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『V字回復の経営』から期間は開きましたが、『経営パワーの危機』(著:三枝 匡)を読んだので軽く感想をまとめておきます。

あらすじとしては、新日本工業という大企業の一ミドルであった伊達陽介が倒産寸前の投資先企業、東洋アストロンに単身で乗り込んで企業の再建にあたるといったストーリーです。

前作である『V字回復の経営』『戦略プロフェッショナル』との違いは、一ミドルマネジャーであった伊達が経営者として成長していく過程にスポットがあてられている点です。

例えば

  • 冒頭の新日本工業社長、財津とのミーティングでの場面(生意気なミドルという感じ)
  • 東洋アストロン前社長、町田祐造のベンチャー企業経営者としての光と影
  • 財津(親会社社長)伊達(現社長)町田(技術・開発部門のキーパーソンかつ元社長)の微妙なパワーバランス
  • 親会社人事で送られてきた営業部長、明石との内紛
などなどです。前2作における主人公の上司というのは快きスポンサーであったのに対し、『経営パワーの危機』における上司、財津は父親のような存在で、積極的に物語に介入し、最終的には伊達の拡大戦略に対し雷を落とし、強く諌める役を勤めています。

加えて、東洋アストロンを倒産寸前まで陥らせた創業者兼前社長の町田が会社に残り、開発の要として伊達と共に仕事をするという微妙な人間関係が後々の内紛の種になるというのも、この本ならではのシチュエーションとなっています。

全体的に感じたことは、前2作と違って、「一筋縄ではいかない経営」というのを強く感じました。『V字~』のように危機感のない状態から喚起して、という段階ではなくこちらではもう倒産寸前土下座状態からのスタートですので、規模を縮小すればいいという話ではないし、画期的な新製品も、ゼロからのスタートで出てくるにはかなりの紆余曲折があります。経営陣は政治的な暗闘が続く、この様な中で、主人公の伊達は救世主として華々しく、ではなく悩み苦しみながら一つ一つ解決し、最後は天狗になります。そう考えながら読んでいくと、ほんの少しもやもやが残る本です。いや、すっきりとしない読後感の方が問題提起としては良いんですけどね。

要するに、著者の文才が上がったのでは…と思います。

2011年3月25日金曜日

『Me2.0』(ダン・ショーベル)

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今回は『Me2.0』(ダン・ショーベル)を取り上げます。
この本のメインテーマはパーソナルブランディングとなっております。どういうことかというと、
パーソナルブランディングの定義:「パーソナルブランディングとは、個人や起業家がプロフェッショナルとして、または個人として、自分のバリューポジション(自分ブランドが相手に提供できる価値)を明確にし、それをはっきりと伝えることで自分を差別化し、集団から抜きんでるプロセスであり、具体的な目標を達成するために、そのプロポジションを一貫性のあるメッセージとイメージを使って、複数のプラットフォームで展開することである。(以下省略)(p.24)
 などというようにこの本では定義されていますが、もっと単刀直入に言った「自分を会社に見立てる」という例えがその後に書かれており、それが最も自分にはしっくりきました。でも、「ブランディング」なんて付いている時点で分かるように、マーケティング寄りの話です。

この本で中心となるのが思い通りのキャリアを作るための4ステップで、具体的にFacebook,Linkdedin,twitter,flickrなどのソーシャルネットワークツールやSWOT分析、マーケティングの4Pなどの手法をを絡めながら

  1. 自分ブランドを見つける
  2. 自分ブランドを作る
  3. 自分ブランドを伝える
  4. 自分ブランドを管理する

という4ステップで解説しています。特に、ブログ戦略(ブログの書き方、育て方)の項はかなり具体的にまとめられており、良い参考になりました。

ただ全体的気になったのは、著者の大学時代や就職活動期のエピソードが多いのでどちらかというとそちら向きな面もあるという点です。始めから自分のテーマをニッチに設定しパーソナルブランディングを行うというのはまさにスタートアップベンチャーの戦略そのものだと思います。

全体の感想としては、パーソナルブランディングは今まさに取り組まなければならないということを実感しました。パーソナルブランディングでライトが当たるのは今まであまり見かけなかったセグメントで活躍している人や、ウェブ以外の現実で活躍していたが、露出が少なかった人で、そういった方々にスポットライトが当たるのは新たな知見を得る、物語を知る良い機会になります。
ただし、Facebookの、リアル・web両面をそのままネットに持ち込み、パーソナリティーを一元化するというところには、私はまだまだ至っていないような実感があります。むしろ、ブログ→twitter→Facebook→mixiのような形で、個人の本音や意見がマトリョーシカ(次第に小さくなっていくロシア人形)式に狭まっているように思います。パーソナルブランディングは、その部分に一貫性を持たせなければいけないので、少なくとも私はまだ出来ていませんね。
日々精進です。

2011年3月17日木曜日

『V字回復の経営』(三枝 匡)

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さて、ブログの方は通常更新をしていきます。今回取り上げるのは2001年に発売された、三枝匡さんの『V字回復の経営』です。

この本は三枝さんの関わった5社の事業再建を元にかかれた小説形式の本です。翌年に発表された『戦略プロフェッショナル』の方はプロダクト・ライフサイクルやプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(略してPPM)などの経営戦略を散りばめた内容にたいしてこちらはとことん人間臭い部分にフォーカスされた内容となっています。

要点

  • 上層部、開発、営業とどの部署にも被害者意識が蔓延っており、自身の責任を有耶無耶にしている。
  • 戦略に基づいた経営がなされておらず、「選択と集中」が十分になされていない。
  • 機能別組織→創って、作って、売る(研究開発→生産→販売)ための分権化
  • 改革の推進・抵抗パターン
この中でも特に注目して読んだのが改革の推進・抵抗パターンの分類です。まとめるとざっとこのような形になります。

  • A改革先導者(イノベーター)
  1. A1過激改革型
  2. A2実力推進型
  3. A3積極行動型
  4. A4積極思索型
  • B改革追随者(フォロワー)
  1. B1心情賛成型
  2. B2中立型
  3. B3心情抵抗型
  • C改革抵抗者(アンチ)
  1. C1確信抵抗型
  2. C2過激抵抗型
  • D人事更迭者(淡々型、抵抗型)
  • E外野傍観型(上位関係型、完全外野型)
列挙してみましたが、企業改革において、社内の人間はこのように分かれるようです。ええ、多いと思います。個人的には2:8の法則ぐらい簡潔だと粗すぎるので2:6:2の法則ぐらいがいいのかなと思いますが、実際の改革においてはこの分類通り明らかな違いがあるのでしょう。

『V字改革の経営』ではこれらの分類を登場人物一人ひとりにあてはめて詳細に解説しているところが肝です。それがなければフレームワークとしてはやはり分類過剰のような気がします。

ベストセラーになった本らしいですが、正直なところ私は経営学部を出なければ一生興味を持たない範囲の本だったと思います。実際読んでみても「へぇー」としか思わないでしょう。
ただし、リーダーとして責任を背負って改革に取り組んでみたいという人には良書です。モチベーションの維持にも役立つものだと思います。その他の著書『経営パワーの危機』も後日読んでみるつもりです。

2011年3月3日木曜日

『組織行動論の実学 心理学で経営課題を解明する』(著、編集:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部)レビュー

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最近読み終えた本について、こつこつ書評を書いていこうと思います。
第一冊目が『組織行動論の実学 心理学で経営課題を解明する』(DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー)というビジネス書です。

この本は経営課題の中でも組織で働く人々の行動や態度といった部分を組織行動学、社会心理学視点からハーバード・ビジネス・レビューに寄稿された論文をまとめた本です。
私が気になったキーワードとしては、

  • 「組織の構成員から見られる7つの組織像(特に受動攻撃性)」
  • 「転移」
  • 「神経症的インポスター(詐欺師)」
「組織の構成員から見られる7つの組織像」は「健全な組織」「不健全な組織」という2つのカテゴリに分けられた説明が円グラフ型の図表になっています(p.5)
この本の第一章では特に「受動攻撃型」組織(一見穏やかだが、あらゆる手を使って組織に公然と反発する勢力。この組織の力が強いと、一旦決まったはずの計画がなかなか進展しないような状況になりやすい。)について多くページを割いていますが、その他の組織像についても、自分の所属している組織がどの形に近いのか自己診断する手助けになるかと思います。

次に気になった「転移」というのは第9章に書かれています。私は心理学に関しては門外漢で「転移」とは何ぞや?ぐらいの知識でしたが、要約するとリーダーについていくフォロワーはリーダーに対してどのような感情を抱くかという話で、リーダーを肉親と重ね合わせて感情を移してしまうということには純粋にそうなの?と思いました。無意識とはいえ、リーダーを父親や母親に重ね合わせて見ているなんてぞっとします。(僕が一線引くタイプだからかも)「お国柄で異なる転移」もなかなか興味深いです。

第10章の「神経症的インポスター」は要約すると「卑屈な完璧主義者」で、高い成果や業績を上げているにもかかわらず、その成果を「まがいもの」と思い込み、自分で自分の成果を認められないという症状らしいです。完璧主義といえば、日本人のお得意技のようなところで、日経ビジネスassocie(2月15日号)にも「完璧グセ」と紹介されていましたが、いい心がけだがやりすぎ厳禁な主義で、これが極端になりすぎると「神経症的インポスター」になってしまうと思うと、わが身を振り返ってみないといつこうなってるか分からないのでぞっとしました。

この書評では自分の気になったところを少し紹介などしてみましたが、何かしらの組織内にいる人なら多かれ少なかれ経験したことがある方には、ま新しさはないです。大体2007年に出た本ですので、今はもっと新しい論文が出ていてもおかしくないと思います。
しかし、何らかのフレームワークを得たいと思う方には良本だと思います。あと読みやすいです。高いけど。