2011年3月17日木曜日

『V字回復の経営』(三枝 匡)

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さて、ブログの方は通常更新をしていきます。今回取り上げるのは2001年に発売された、三枝匡さんの『V字回復の経営』です。

この本は三枝さんの関わった5社の事業再建を元にかかれた小説形式の本です。翌年に発表された『戦略プロフェッショナル』の方はプロダクト・ライフサイクルやプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(略してPPM)などの経営戦略を散りばめた内容にたいしてこちらはとことん人間臭い部分にフォーカスされた内容となっています。

要点

  • 上層部、開発、営業とどの部署にも被害者意識が蔓延っており、自身の責任を有耶無耶にしている。
  • 戦略に基づいた経営がなされておらず、「選択と集中」が十分になされていない。
  • 機能別組織→創って、作って、売る(研究開発→生産→販売)ための分権化
  • 改革の推進・抵抗パターン
この中でも特に注目して読んだのが改革の推進・抵抗パターンの分類です。まとめるとざっとこのような形になります。

  • A改革先導者(イノベーター)
  1. A1過激改革型
  2. A2実力推進型
  3. A3積極行動型
  4. A4積極思索型
  • B改革追随者(フォロワー)
  1. B1心情賛成型
  2. B2中立型
  3. B3心情抵抗型
  • C改革抵抗者(アンチ)
  1. C1確信抵抗型
  2. C2過激抵抗型
  • D人事更迭者(淡々型、抵抗型)
  • E外野傍観型(上位関係型、完全外野型)
列挙してみましたが、企業改革において、社内の人間はこのように分かれるようです。ええ、多いと思います。個人的には2:8の法則ぐらい簡潔だと粗すぎるので2:6:2の法則ぐらいがいいのかなと思いますが、実際の改革においてはこの分類通り明らかな違いがあるのでしょう。

『V字改革の経営』ではこれらの分類を登場人物一人ひとりにあてはめて詳細に解説しているところが肝です。それがなければフレームワークとしてはやはり分類過剰のような気がします。

ベストセラーになった本らしいですが、正直なところ私は経営学部を出なければ一生興味を持たない範囲の本だったと思います。実際読んでみても「へぇー」としか思わないでしょう。
ただし、リーダーとして責任を背負って改革に取り組んでみたいという人には良書です。モチベーションの維持にも役立つものだと思います。その他の著書『経営パワーの危機』も後日読んでみるつもりです。

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